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信託トピックス

『おひとりさま』の終活とは?家族信託と他の相続対策を利用した活用例

皆様はこれまでに『おひとりさま』という言葉を耳にしたことはありますか?

言葉の定義はわりと広く、一人で食事に行ったり観劇したり、といった「一人でする活動」の呼称として使われることもあれば、配偶者のいない男女(元は婚姻関係にあったが現在はいない場合も含めて)を総称して使われることもあるようです。

相続業界でも近年この『おひとりさま』を対象とした様々なサービスが展開されており、大手信託銀行では「おひとりさま信託」という名称の商品もあるなど、『おひとりさま』市場のニーズが拡大されていることが伺えます。

今回は『おひとりさま』が将来の不安を解消するために、今から出来る生前対策をご紹介していきます。

目次

1.『おひとりさま』終活に必要なこと

ご自身の財産に関するに相続対策や、それ以外の身の回りの整理などを含めて終活(しゅうかつ)と呼んだりしますが、『おひとりさま』の終活にはざっくりと次のような準備が挙げられます。

①病気やケガの入院に備える
②身辺の不要なものの整理
③身元保証人を決めておく
④見守りサービス等の利用
⑤貯蓄や資産・負債の把握
⑥亡くなった後のこと

それぞれ順を追って見ていきましょう。

①病気やケガの入院に備える

ご自身の年齢にもよりますが、一般的に高齢になると病気やケガの発生率は高くなります。

国民健康保険や介護保険など高齢者医療制度の利用だけで賄えれば問題ありませんが、長期の入院が必要となる場合など、必要に応じてご自身に適した医療保険に加入するなどして備えておきましょう。

②身辺の不要なものの整理

家の中にモノが溢れているという方は、機をみて不要なモノの処分をすることをお勧めします。

高齢で体力がなくなってくると日々の掃除が大変なだけでなく、ご自身が亡くなったあとに、遺品整理で親族の手を煩わせる事にもなりかねません。

③身元保証人を決めておく

入院や手術の際には一般的に身元保証人が必要となります。また、病院に限らず、高齢者施設などに入居する場合にも同様です。

親族との関係性が良好であればその時だけ親族に頼む、という事も可能ですが、頻繁に発生する状況になるとなかなか頼みづらくなってしまいますし、そもそも遠縁で頼りにできる親族がいないという方もいるでしょう。

このように場合に社会福祉協議会のサービスを利用したり、司法書士等の専門家に依頼するといった事を検討しておきましょう。

④見守りサービス等の利用

高齢のおひとりさまにとって「自宅で急に倒れたり、ケガをして動けなくなる」状態は最も心配な不安の種の一つでしょう。

近くに頼れる親族がいる場合でも、緊急事態にすぐに動いてもらえる状況とも限りません。

こうした事態の対応策として、民間の警備会社が提供している見守りサービスや、自治体が提供している見守りサービスを事前に調べておくことをお勧めします。

⑤貯蓄や資産・負債の把握

いざという時の為に、ご自身の貯蓄や資産・負債を予め把握しておきましょう。

高齢のおひとりさまは特に、認知症となってしまった際の資産管理は非常に大切です。

金融機関の口座管理や、自宅などの不動産の修繕やリフォーム・売却といった契約行為には、本人の意思確認が必要不可欠となります。

何の対策もせず、もし認知症となってしまった場合、本人の意思確認が取れず誰も資産管理を出来ない状況が発生してしまい、日々の生活にすら支障をきたしてしまう事になりかねません

そうなってしまう前に、家族信託任意後見制度などを利用して、頼れる誰かに資産管理をしてもらう必要があります。

もし誰も頼れる人がいない、といった場合でも、司法書士等の専門家が家族信託の受託者、任意後見人に就任して資産の管理・監督をするという手段もあります。

⑥亡くなった後のこと

「自分が亡くなった後、財産をお世話になった人に譲りたい。」
「普段からボランティア活動しているペットのNPO法人に寄付したい。」

などの遺産に関することや、葬儀の方法、散骨の仕方、家財の処分方法など、人により様々なご希望があるでしょう。

生前に何の対策もしていなかった場合、財産は親族の中から法定相続人(民法で相続人と定められた人)の誰かが相続する事となり、財産以外の事に関しても親族の誰かが、その人のやり方で進めていくことになるでしょう。

そこで、遺言や死後事務委任契約といった方法を使うことで、財産のこと、それ以外の事に関するご自身の想いを形にすることが可能です。

2.司法書士目線から見た『おひとりさま』の終活

司法書士という相続・生前対策の専門家の視点からみた、おひとりさまの終活として、次のような相続対策の活用例が挙げられます。

【事例】
・高齢のおひとりさま(女性)
・両親は既に他界
・弟の甥が近郊に暮らしていて何かと世話になっている

自宅とまとまった預貯金

家族信託のひとつである『遺言代用信託』にて管理・運用・処分をしていきます。

委託者兼受益者としてご自身を指定し、受託者として甥を指定します。必要に応じて、専門家を受託者監督人としてつけることで、適切な管理がされているかをチェックすることができます。

ご自身が亡くなった後は、残っている信託財産の帰属権利者(信託財産を最終的に取得する人)にご自身が希望する相手を指定することが可能です。

上記以外の生活資金(年金など)

家族信託では、信託契約の中で指定した財産しか管理・運用・処分してもらうことができません。

そこで生活費や定期的に入ってくる年金などに関して、生前は『任意後見契約』を甥と結ぶことで、元気なうちはご自身で管理し、認知症となった後は任意後見人として指定した甥に管理してもらうことが可能です。

※ただし、任意後見契約の場合、家庭裁判所で指定された後見監督人(後見人が適切な管理をしているかチェックする人)が必ず就任します。

任意後見契約は相続発生と同時に終了となりますので、予め『遺言』を利用して財産の承継先を指定しておくことで、残ったすべての財産を希望する相手にのこすことができます。

実際の預金解約等の様々な手続きについても、遺言執行者として司法書士等の専門家を指定しておくことでスムーズに手続きをおこなうことができます。

身辺に関すること

任意後見契約で指定された任意後見人は、ご自身が認知症等で意思能力が無くなった後の契約行為(病院や介護施設の入居時など)を代理する事が可能です。

そこで地域の社会福祉士やケアマネージャーと連携し、ご自身が元気なうちから『見守り契約』等と併用しながら認知症となった場合の対策をすることができます。

ご自身が亡くなった後の様々なご希望・手続きについては、生前に『死後事務委任契約』を交わし打合せておくことで、相続発生後は契約内容に沿ってすべての手続きを進めることが可能です。

3.予め注意しておくこと

「おひとりさま」であっても、生前対策をする際にはいくつか注意すべき点があります。

①法定相続人の遺留分請求に注意!
②財産をのこす際の税金に注意!

それぞれ確認していきましょう。

①法定相続人の遺留分請求に注意!

遺留分とは法定相続人に認められている、『最低限の財産を相続できる権利』であり、この遺留分を侵害している場合、遺産をもらう人が他の法定相続人から遺留分侵害額請求を提訴される可能性があります

遺留分を有するのは法定相続人のうち、配偶者、子、親に限られ兄弟姉妹は認められていません。

予め相続人にあたる人とよく話し合いをしておき、遺留分請求されることも考慮に入れた上での対応を想定をしておく必要があるでしょう。

②財産をのこす際の税金に注意!

ご自身に相続が発生すると、財産の額に応じて、相続税の納税義務が発生する場合があります。

財産が基礎控除額内で収まる場合は問題ありませんが、基礎控除額を超える場合には財産を相続する相続人は相続税申告をする必要があります

ここで、信託財産の帰属権利者や遺言で財産を取得すると指定された方が、法定相続人以外の親族や親族以外の方(又は機関)の場合、相続税ではなく贈与税が発生することになります。

もし相手方に何も伝えていないと、いざ相続が発生した際にかえって困らせてしまう可能性もありますので、予め一報を入れておく方が良いかもしれません。

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