家族信託された実家の不動産を売却する手続方法とは
≪目次≫
1.「家族信託で実家を売却したい」とは言ったものの実際どうする?
2.不動産売買のプロセス
3.信託財産(不動産)を売却するには
3-1.信託条項に『信託不動産の処分』についての記載がない場合
3-2.売却益や納税義務について
4.まとめ
2.不動産売買のプロセス
3.信託財産(不動産)を売却するには
3-1.信託条項に『信託不動産の処分』についての記載がない場合
3-2.売却益や納税義務について
4.まとめ
1.「家族信託で実家を売却したい」とは言ったものの実際どうする?
家族信託を検討するご家庭の多くは、ご家族の誰かが認知症となった時に、ご実家や預貯金の管理・処分が出来るようにしたい、とお考えかと思います。
何も対策をせず認知症になり、ご本人の意思確認が取れないようになると、預貯金等は引きおろしが出来なくなり、ご実家の立替修繕・賃貸・売却等すべて出来なくなってしまいます。
そうした観点から、家族信託でお子様等のご親族が財産を管理・運用・処分が出来るようにする事は、認知症対策として正しい判断と言えるでしょう。
ところで、いざ信託契約を締結し、ご家族で財産を管理していくうちに、委託者の方が介護施設等に入居する事になったします。
受託者の方が同居している場合は問題ありませんが、そうでなければ管理維持の問題や施設の入居費・生活費・医療費等のためにご実家を手放すという選択肢もあるでしょう。
今回のトピックスでは、いざご実家を売却するとなった時の手続方法について取り上げていきたいと思います。
2.不動産売買のプロセス
そもそも不動産の売却が未経験という方も多いかと思います。
実際にどのような事が行われているか、ざっくりと見ていきましょう。
①売却の意思決定
②不動産の物件調査・価格査定(所有者の名義調査、住宅ローンの残債、等)
③不動産業者と媒介契約締結
④買主との売買契約成立、手付金受領
⑤残代金の決済・登記手続きの依頼(抵当権抹消、所有権移転)・住宅ローン返済
⑥不動産の引渡し
⑦固定資産税、管理費等の精算・支払い
⑧取引完了確認
⑨確定申告
※実際にはそれぞれの期間の間に様々な手続き等があります。
②不動産の物件調査・価格査定(所有者の名義調査、住宅ローンの残債、等)
③不動産業者と媒介契約締結
④買主との売買契約成立、手付金受領
⑤残代金の決済・登記手続きの依頼(抵当権抹消、所有権移転)・住宅ローン返済
⑥不動産の引渡し
⑦固定資産税、管理費等の精算・支払い
⑧取引完了確認
⑨確定申告
※実際にはそれぞれの期間の間に様々な手続き等があります。
簡単に書き出してもこれだけ多くの手順があります。
家族信託を設定していなかった場合、もちろんご家族が一緒に不動産業者とお手続きする事が多いとはいえ、ご高齢者がご自身で内容を確認し進めていくのはなかなかの負担となるでしょう。
3.信託財産(不動産)を売却するには
信託財産にしたご実家を売却する場合、手続方法に違いはあるのでしょうか。
この場合、信託契約の条項に『信託不動産の処分』が出来る旨が含まれていれば、受託者が不動産業者、買主と直接取引する事が出来ます。
つまり売主=受託者となるだけで、それ以外は一般の不動産売買と変わりません。
3-1.信託条項に『信託不動産の処分』についての記載がない場合
信託条項に不動産の処分が出来る旨がないと、受託者は信託条項で定められた範囲内の事しかする事が出来ません。
そうは言っても、信託契約当初は「売却はしない」つもりだったが、その後施設の費用や医療費が想像以上に大きく、このままでは当初の信託財産の預貯金だけでは賄いきれない、そのような事態は起こり得るでしょう。
途中で信託契約内容を変更するには、
・『追加信託』をして、信託条項に不動産の処分が出来る旨を追加する
・『信託契約の終了』をして新たに信託契約を締結する
のいずれかをするしかありません。
(『追加信託』についてはこちらのトピックスをご参照ください。
⇒【もし家族信託中に信託財産が不足してしまったら~『追加信託』という概念~】 )
但し、どちらの方法も「当事者間の合意」が前提となりますので、委託者が認知症を発症して意思確認が取れなくなってしまった場合は、当初締結した信託契約が終了するまで不動産の売却は出来ません。
このような状況を防ぐ為、信託契約設計の時点で不動産売却の可能性を考慮する必要があるでしょう。
3-2.売却益や納税義務について
売却益に関して、特段の定めがなければ信託財産を売却しているのでその売却益も信託財産に組み込まれることになります。
その際、譲渡所得税に関してはというと、信託不動産は名義上で受託者となっていますが、そこから発生する利益は受益者のものとなりますので、譲渡所得税の納税義務も受益者に発生する点を押さえておきましょう。
4.まとめ
・家族信託をしていれば受託者が信託財産の不動産の売却手続きを出来る
・信託財産を売却できるかどうかは、信託条項に『信託財産の処分』が可能な旨の記載があるかどうかによる
・『信託財産の処分』の記載が無い場合、『追加信託』をするか、『信託の終了』をして新たに信託契約を結び直す必要がある(どちらも委託者の意思確認が求められる)
いかがでしたでしょうか。
大切なご実家を手放す事は出来るだけしたくない、というのがご家族の望みではあると思いますが、いざそうなった時を想定しておくことは非常に重要な事でしょう。
また受託者の方が街の不動産業者に売却の相談に行った際、「信託されている不動産のお取り扱いは出来ません。」と断られてしまうケースもあるようです。
ここ数年で家族信託がだんだんと浸透してきたとはいえ、完全に世間で認知されるには、まだまだ時間がかかるでしょう。
そういった意味では、同じ相続・生前対策の専門家であっても、不動産の売却まで包括的にサポートできる司法書士は実はそれほど多くありません。
当法人は、創業29年の実績の中で、数多くの不動産登記と相続登記をそれぞれ専門チームが対応し連携しておりますので、様々な状況にも柔軟にご対応致します。
家族信託をお考えの方は是非一度、渋谷区マークシティ、目黒区学芸大学駅の司法書士法人行政書士法人鴨宮パートナーズまで、お気軽にご相談ください。
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