どこまで出来る?家族信託①~株式編~
≪目次≫
1.成年後見制度の限界
これまでのトピックスにて、認知症対策として家族信託が有効な対策方法であることはお伝えしてまいりました。
「でも、認知症になっても成年後見制度を使って財産管理をしっかりやれれば良いんでしょう?うちは父がいるけど、生活費はもともと別物だし、本人の財産から施設の利用費も出せるから、わざわざ信託までしなくでも。。」
と思われる方もいるかと思います。
確かに、成年後見制度を利用すれば後見人が就き、本人の代わりに生活費のためや、施設の利用費として、金融機関での預貯金管理が可能となります。
しかし、実はここで落し穴となる事があります。
成年後見制度では、『株式の取引』が認められていないのです。
「本人の財産なのにどうして??」と思われる方もいるでしょう。
そもそも、成年後見人は本人の為に、『本人の財産を守るため』の働きをします。
ここでネックとなるのが、銀行の預貯金等は管理の範疇ですが、株式はリスクを抱えた運用と判断されます。
財産を守る立場の後見人が、仮に勝手に株を売却したり買い増ししたりなどして、みすみす本人の財産を目減りさせるようなことがあっては大変ですよね。
そういった理由から、成年後見制度では株式の取り扱いが出来ず、もし資産の多くが株式であった場合、その資産は事実上凍結状態となってしまうのです。
もし資産の大半を株式等の有価証券で保有されている方が、認知症になってしまったら大変です。
せっかく配当金が出たとしても、その方の運用方法次第では、預貯金口座にお金が入らずに亡くなるまで証券口座内で運用される事もありますし、保有している株式が暴落してしまえば、本来ならば貴重な財産が、どんどん減っていくことになってしまいます。
2.代理人届は使えない?
それならばと、一つの対策として、『代理人届』を証券会社に提出する事が出来ます。
予め、証券会社に、もしもの為に家族が代理人になる旨を届出ておくことで、現物取引等を委任して行うことが出来ます。
しかし、あくまで委任契約ですので、もし委任者である本人の判断能力が低下し、意思確認が難しくなってしまうと、代理人として取引が出来なくなる可能性があります。
近年、証券会社や金融機関への本人確認義務は一層厳しくなっていますので、定期的な本人の意思確認の電話や訪問等により、代理行為が認められなくなってしまいます。
家族信託を利用すれば、このような状況にも対応する事が出来ます。
例えば一つの方法として、父親の保有している株式を、息子名義の信託口口座に移管します。
受益者は変わらず父親のままにしておけば、実際の運用を息子に任せておけますので、意思がはっきりしている間は運用方法をアドバイスできますし、認知症となっても、暴落の危機への対処は息子がする事が出来ます。
本人が亡くなった後の信託財産の承継人を信託契約内に盛り込んでおくことで、遺言書と同じ効果があり、相続手続きもスムーズにすることが出来るのです。
3.信託口口座はどこで作れる?
上場株式や投資信託といった有価証券は、証券会社で証券口座を開設する必要があり、2020年11月現在では、野村證券、大和証券、楽天証券で信託口口座の開設が可能です。
但し、口座開設には各証券会社が定める要件を満たす必要があり、信託契約書の内容も、その要件を満たすものでなければなりません。
一般的なものでは、
・『委託者=受益者』である事
・信託契約書は公正証書で作成する事
・司法書士等の専門家が作成に関与した信託契約書である事
・家族(委託者の法定相続人に該当する方)の同意が取れている事
・信託契約書は公正証書で作成する事
・司法書士等の専門家が作成に関与した信託契約書である事
・家族(委託者の法定相続人に該当する方)の同意が取れている事
などがあり、その他様々な要件が各証券会社毎にありますので、事前の確認が大切です。
当法人では、ご相続発生後の遺産整理業務等も多く手掛けておりますが、一昔前と比べて、銀行預金だけでなく、株式等の有価証券を保有している方が非常に多くなってきました。
今回挙げたトピックスのように、株式等の資産を多く保有している方は、是非一度今後の認知症対策として、渋谷区マークシティ、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズまでお気軽にご相談ください。
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