どこまで出来る?家族信託②~事業承継編~
≪目次≫
1.事業主の抱える不安とは?
前回の記事で、株式を保有している場合の家族信託との関連性を取り上げました。
( →『どこまで出来る?家族信託①~株式編~』 )
今回はご自身が株式会社を営んでいる場合に(便宜上、非上場会社とします。)、どのようにすればスムーズに事業承継が出来るか、という観点より家族信託を見てみましょう。
当法人では日々、法人設立等の商業登記のご依頼や、様々な事業を営んでいる経営者の方からのご相談が寄せられてきます。
その中でも、長年事業を営んでいる経営者の方に生前対策についてご不安等を聴取したところ、大まかに次のようなものが挙げられます。
・子供がおらず、今後の会社の後継者が不在
・社長の直系以外に会社が相続されてしまう
・資産の大半が株式なので、相続発生時に争いが起きるのではないか危惧している
・生前に株式を贈与したいが贈与税を考えると一度に贈与する事は難しい
・社長の直系以外に会社が相続されてしまう
・資産の大半が株式なので、相続発生時に争いが起きるのではないか危惧している
・生前に株式を贈与したいが贈与税を考えると一度に贈与する事は難しい
ご自身が事業経営者ですと、後継者選びは今後の会社の存続を左右する非常に大きな決断です。
特にご家族で経営をされている方は、なるべくお子様に会社を継いでもらいたいと考えるのも無理はないでしょう。
また、やはり資産構成としては株式の比率が高くなりがちのようです。
「経営を子供に任せたいけど、まだまだ不安だ、、、。」
「株式を全部渡すといざという時に生活の不安が残る、、。」
「子供がいないから、このままだと自分亡き後は妻側の親族に会社が渡ってしまう、、。」
「株式を全部渡すといざという時に生活の不安が残る、、。」
「子供がいないから、このままだと自分亡き後は妻側の親族に会社が渡ってしまう、、。」
等々、書き出せば列挙に暇がありませんが、上記のご不安を端的に表現すれば、『経営への不安と後の相続対策への不安』といったところでしょう。
2.事業承継と家族信託
事業承継における家族信託活用の最大のメリットと言えば、『経営と利益の分離』でしょう。
次の例を見てみましょう。
【例】ご相談者は弟と共同で会社を営んでおり、体調がすぐれないため、そろそろ第一線を退きたいと思案中。
弟夫婦には子供がおらず、自分亡き後は経営を弟に託そうと考えているが、最終的な後継者は息子にしたい。
相続対策として預貯金と自宅は妻に渡す予定で遺言を書いているが、自社株式は最終的に息子に渡るようにしたい。
弟夫婦には子供がおらず、自分亡き後は経営を弟に託そうと考えているが、最終的な後継者は息子にしたい。
相続対策として預貯金と自宅は妻に渡す予定で遺言を書いているが、自社株式は最終的に息子に渡るようにしたい。
上記の例によると、一時的に経営を弟に任せたいが、株式をそのまま譲渡してしまうと経営権・配当を受ける受益権とも弟に渡る事となり、自身の財産も減少してしまいますし、最終的に息子が会社を継げるかどうか、一抹の不安も残ります。
また株価によっては、弟に渡るタイミングで贈与税がかかりますので、弟夫婦側での負担も大きくなってしまいます。
家族信託を使う事によって、経営権と配当等の受益権を分離させ、それぞれを希望のタイミングで承継させることが可能です。
上記のスキームを使うことで、経営権は『自分→弟→息子』へ、受益権は『自分&弟→弟→息子』へと、それぞれ時期をずらして承継する事が出来ます。
ここで受託者として共同名義の社団法人を立て、監督人を就ける事で、最終的に子まで確実に権利が承継される為の保険となり、仮に自分が認知症になったとしても安心して信託契約を継続していくことができます。
3.贈与税はどうなる?
もし家族信託を利用していない場合、単純に株式が譲渡されるタイミング、または相続によって相続人が株式を相続するタイミングで発生します。
家族信託を利用した場合、経営権と受益権が分離されますので、株式譲渡の贈与税は、実際に受益権が譲渡されたタイミングで発生します。
よって上記のスキームでは、例えば経営していく中で、意図的に利益を小さくして、株価が下がったタイミングで本人→弟へ贈与する事で、贈与税を小さくすることが可能となります。
但し、贈与契約には本人の意思確認が必要となる為、認知症等で意思確認が出来なくなった場合は贈与が出来なくなってしまう点に注意が必要です。
いかがでしたでしょうか。今回のように家族信託を利用する事で、これまでにできなかった、生前からのスムーズな事業承継が可能となりました。
生前対策をお考えの方は、是非一度、渋谷区マークシティ、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズまでお気軽にご相談ください。
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