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お知らせ

実家で農家を営む両親に家族信託の相談をされたらどうする?

 

≪目次≫







1.日本における農家の割合



突然ですが、皆様の周りで、ご実家やご親戚が農業を営んでいる、という方はいらっしゃいますか?

現代の日本社会には実に様々な職種があり、都内を電車で移動していると、窓の外には多くの高層ビル群や住宅地、商業施設が立ち並んでいる景色ばかりです。

元々日本は第一次産業=農業が中心の国でしたが、近年の農業就業人口は大分に減少しており、2019年の調査結果によると168万人程と統計が出ています。

その中でも65歳以上の高齢者の割合は6割ほどを占めており、後継者不足や認知症が問題視されているようです



 

2.農家の両親に家族信託を相談されたら



農家や地主の多くには「農地」を所有されている方も多く、ゆくゆくの相続・認知症対策として家族信託を検討される方もいるでしょう。

これまでにも様々なトピックスで土地や建物の家族信託を紹介してきましたが、今回は「農地と信託」に焦点を当てていきましょう。


・農地の売買、贈与は出来るのか

ではまず信託以前の段階で、農地の売買や贈与がどのようにして出来るのかについて見ていきましょう。

そもそも「農地」とは、不動産登記上の地目が「」「」となっているものを指しており、農地は『農地法』という法律によって規制されています

また、登記上の地目が「田」「畑」ではなくとも、現況が農地であったり現在は何も栽培されていなくても客観的にいつでも耕作ができる状態であれば、これも「農地」として扱われ同様に規制を受けます
(こういった考え方を「現況主義」と言います。)

農地法では、所管の農業委任会の許可または届出がなければ売買や贈与契約は出来ないとされており、当然ながら許可・届出がない場合、売買や贈与を原因とした所有権移転登記の手続きも出来ません
(ただし、相続による所有権移転登記の場合は除外とされています。)



 
・農地は原則、信託出来ない?

農地法では前述のとおり、農地の所有権移転は農業委員会の許可・届出が必要となります。

その許可が下りない場合として、農地法第3条第2項第3号に『信託の引受けにより第一号に掲げる権利が取得される場合』との明文があります。

この明文からすると、農地を信託する事は出来ない、ということになります。



ここで早合点して欲しくないのですが、この農地法第3条は「農地を所有権移転後も農地として使用する」場合の規定であり、正確には『農地をそのまま農地として利用する前提での信託が出来ない』という事を指しています
(農業委任会が受託者となる場合で可能となるケース等の、ごく一部の例外は除きます)

では、実際問題どのようにすればよいのでしょうか?



 
・『農転』とは?

農地法第4条、第5条ではそれぞれ「転用」の許可・届出について、「転用目的権利移転」の許可・届出についての規定があります。

簡単に言ってしまえば、第4条は自分の農地を自分が転用する場合、第5条は自分の農地を他者に売って(賃して)、その買主(借主)が転用する場合の許可・届出についての規定です

このように農地を宅地として転用する事を、実務上『農地転用農転』と呼んだりするのですが、農転する事で初めて家族信託の信託財産として扱える可能性が出てくるのです



 
・「市街化区域」と「市街化調整区域」の違い

農転する事で、家族信託が出来るようになるとお伝えしましたが、実は全ての土地を農地から宅地に転用できるわけではありません

日本には快適な街づくりを推進するための『都市計画法』という法律があり、この法律を基に、行政により『都市計画区域』というものが定められています



大まかに「市街化区域」と「市街化調整区域」に区分されるのですが(実際には都市計画区域外も存在しますが、ここでは趣旨から外れてしまうため割愛します。)、これから信託予定の農地が「市街化区域」にあるか、「市街化調整区域」にあるかで信託できるかどうかのハードルが変わってくるのです

市街化区域は『優先的に市街化する地域』とされていますので、農業委員会への『届出』により所有権移転の効力が生じます

一方で市街化調整区域は『市街化を抑制する地域』とされていますので、原則として住宅やアパートを建てることは難しいとされており、農転するには農業委員会の『許可』が必要となります。

許可が得られない場合、当然、信託契約をすることは出来ません



 

3.条件付き信託契約という方法



では、実際に家族信託をする際、どのような契約になるのでしょうか。

農地を信託財産とするには、農転許可の手続きを経るまで信託契約の効力は生じない事となりますので、『農業委員会の許可等を得ることを条件とした条件付信託契約』を締結します。

例を挙げてみましょう。


【農家を営む父、母は他界。実家と農地、預貯金の一部を息子に家族信託したいという相談。

現在はまだ現役で農業を続けているが、近い将来に引退を考えているとの事】




契約時点では農地の信託契約の効力が生じないため、受託者の財産管理は実家と預貯金の一部のみからのスタートとなります。

父が引退するタイミングで農転の申請をし、農業委員会の許可を得る事で宅地となった土地の信託がスタートする事となります。


・第4条転用と第5条転用の違い

条件付信託契約をする際、農地法の第4条転用なのか第5条転用なのかでその後の効果が大きく変わってくることに注意しましょう。

 
<第4条転用の場合>

委託者(所有者)である父本人が、農転の許可等を得た後で宅地転用と建物建築を行います

現況が農地のままでは農地法の規制対象となりますので、宅地にするには建物建築が要件となります。

農地から宅地への地目変更登記は建物完成時となりますので、受託者の財産管理がスタートするのも建物完成後となります

よって、完成時までは父の判断能力が求められるため、認知症対策としてはなりません



 
<第5条転用の場合>

第5条転用の場合、委託者(所有者)である父本人が農転の許可等を得た後で信託契約を行い受託者の息子に農地の所有権が移転します

そのためその後の宅地転用、建物建築等を行っていくのは受託者の息子となりますので、認知症対策としての家族信託の活用が目的の場合、第5条転用の方法が効果的でしょう

 

4.まとめ



 
◎農地は『農地』のままでは信託出来ない
◎農業委員会の許可等で農地⇒宅地に転用する必要がある
◎農地のある場所が『市街化区域』なのか『市街化調整区域』なのかでハードルが変わる
◎認知症対策としては、農地法第5条での転用が効果的

いかがでしたでしょうか。今後、多くの方が認知症対策として家族信託を検討するケースは増加すると見込まれますが、その中でも『農地』をお持ちの方は潜在的に多いのではないでしょうか。

今回、農転とそれを活用した家族信託についてザックリと説明しましたが、ご自身で手続きをしようと考えると、実際にはなかなかハードルは高く、専門家にご依頼するのが妥当でしょう。

弊社は相続・生前対策のみならず、不動産取引での登記についても大きな実績がございますので、農転に関する手続きも熟知した司法書士・行政書士が多く在籍しています。

家族信託をお考えの方は是非一度、渋谷区マークシティ、目黒区学芸大学駅の司法書士法人行政書士法人鴨宮パートナーズまで、お気軽にご相談ください。
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