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信託トピックス

もし家族信託中に信託財産が不足してしまったら~『追加信託』という概念~

追加信託という概念

 
≪目次≫



1.もし信託財産が不足したらどうする?

家族信託契約を締結するに至るまでに、各ご家庭の様々な事情により信託契約の内容は多岐に渡ります。

そんな中、信託財産が途中で不足してしまったとしたらどうなるのでしょうか。

もちろん、信託契約を締結する際には様々な状況を想定して信託設計を組んでいくものですが、例えば、家族信託契約で賃貸アパートの管理・修繕をする事になった受託者が、依頼した修繕工事が長引いてしまって信託財産が不足する可能性が出てきた、、と、想定外の事態は起こり得るものです

今回は「もし家族信託中に信託財産が不足してしまったら?」をテーマに取り上げていきましょう。

 


2.『追加信託』という概念

先に挙げた例では、信託契約の途中で信託財産が不足してしまった時、受託者が工事の契約者となっている為、不足分は受託者の固有財産にて賄う事となります。(受託者の無限責任)

いくら受託者が家族と言えど、自分の固有財産を捻出するのには気が引けるでしょう。

もちろん委託者と受託者の同意があれば、その時点で信託契約を終了する事が出来ます。

ただし、委託者が認知症等で既に意思確認が取れない状況では出来ませんし、そもそも認知症対策として信託契約を結んでいる場合、このまま信託契約を終了してはその後認知症を発症した際に意味を成しません

そこで、信託契約の中に予め、「信託契約内で追加信託が出来る旨を信託条項に記載する」事で、信託財産を追加する事が出来ます


 
2-1.信託契約に予め追加信託条項を記載する必要性

追加信託』とは、信託契約締結後に金銭等を信託財産に追加する事を指し、信託法上の規定ではなく、実務上の概念として認知されています。

信託契約時点で追加条項を記載していなかった場合、契約書を変更することで対処が出来ます。

契約書は公正証書で作成しているケースがほとんどですので、再度公証役場にて公証人に変更してもらう必要があります。

また契約変更には当事者間の合意が欠かせませんので、委託者・受託者、時に受益者の意思表示を必要とし、誰かが認知症で意思確認できない状況になってしまうと結果的に法定後見人をつける必要があり、契約変更は困難となりますし、後見人をつけるならばそもそも信託契約を結んだ意義が失われる事もあります

そのため、最初から信託財産の追加条項を契約内容に記載しておくことをお勧めします。



 
2-2.金銭の追加信託

金銭による追加信託の場合、信託契約内に追加条項があれば、委託者が信託口口座に直接金銭を振り込むことで追加の合意があったとされます

ただし、あくまでも元々の信託契約の追加条項ですので、信託業務遂行の目的から逸脱するような極端な額の追加は認められない事があります

また同様にして、信託の目的に反するような追加も出来ません。



 
2-3.不動産による追加信託

不動産を追加信託する場合、金銭の時のように振込手続きで合意に変える、といった簡略的な手続きは出来ません。

不動産を追加信託するには委託者から受託者への名義変更が必要となりますので、追加条項の記載があったとしても改めて当該不動産に関する信託契約を結ぶ必要があり、信託を原因とする所有権移転登記が必要となりますので、その際には委託者本人と面会し意思確認をする事となります

したがって金銭の時に比べるとかなりハードルは高いと言えるでしょう。



 
2-4.追加信託の活用方法

前述のように、追加信託をするにはそれなりのハードルを越える必要がありますが、委託者が段階的に受託者に信託できるというメリットもあります。

親子間で将来の認知症対策として、今のうちから家族信託を考えてはいるが、いきなり全財産を信託してしまう事に気が引ける、本当にちゃんと管理してくれるかをしっかり確かめる時間が欲しい、と考えるご家族もいる事でしょう。

そのような時に、信託契約に追加条項を予め記載し、最初はかなり少額から信託を開始する事で、例えば一年後など実際の管理状況を確認し、委託者が安心できてから、より高額を信託するといった活用も考えられます

但し金銭であっても委託者本人の意思確認が取れる事が前提となりますので、そういった事も念頭に置く必要があるでしょう。



 
3.まとめ

いかがでしたでしょうか。
信託契約には様々なご家庭事情に対応できる自由度の高い生前対策の方法ではありますが、あらゆる可能性を想定して信託設計をしないと、結果的に当初の目的を果たせない可能性もあります。

司法書士等の士業専門家に依頼するにも、相続のみならず周辺知識に明るい専門家でないと、希望の実現を望めない場合もあります。

家族信託をご検討されている方はまずは一度、渋谷区マークシティ、目黒区学芸大学駅の司法書士法人行政書士法人鴨宮パートナーズまで、お気軽にお問い合わせください。
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