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モデルケース

共有状態解消信託

-後々のトラブル予防策として-


マイホームを購入する時や実家を相続する時など、不動産の名義を共有にすることは良くある事です。

しかし、専門家の視点からすると不動産を共有名義にすることは、あまりお勧めできません。こと認知症対策という点では、不動産の共有状態はできるだけ早く解消すべき、とされています。

とは言え、夫婦であればともかく、親族間での共有状態となると、中々折り合いをつけるのが難しいこともありますよね。

そのような場合に、家族信託のひとつである『共有状態解消信託』を利用した、新しい共有解消の方法をご提案いたします。

 

目次

不動産の共有名義に潜む問題点

まず前提として、すべての共有名義の不動産が問題である、という訳ではありません。

例えば、マイホームを購入する際に、購入金額によっては一人ではローンが組めない場合でも、夫婦共有名義や親子共有名義にすることで審査が通る、という話は良くあることです。

また、相続財産に賃貸アパートがある時など、兄弟間で共有名義にすることで、その後も継続して発生する賃料を、老後の生活費の備えにしているケースなどもあります。

ただし、『生前対策・認知症対策』という観点からみると、やはり共有状態は避けるべき、と言わざるを得ません。どのような問題点が潜んでいるのか、ご紹介していきましょう。

①権利関係が複雑になる

例えば、元々父名義だった不動産を、母と子達で4人の共有名義にしていたとします。
家族間の仲は良かったため、問題なく不動産を共有していました。

後に長男の死亡により、長男分の所有権が配偶者と長男の子2人に相続されたとします。
この時点で、この不動産の名義は6人が共有している状態となります。

同様に次男・長女にも相続が発生していくと、それぞれに配偶者や子などの相続人がいた場合、相続人の人数によっては7人、8人…と共有者が増加することで、権利関係はどんどん複雑化していきます。

そのため、いざ不動産を売却しようと誰かが発案したとしても、共有者全員に連絡が取れず、処分が出来なくなる可能性すら出てくるのです。

②不動産の管理・運用・売却が出来なくなる可能性がある

不動産の共有名義でしばしば問題となるのが、「誰が不動産を管理するのか」という点です。

大抵は特定の共有者が管理人である場合が多いでしょう。
場合によっては公平を期す為、第三者を立てているケースもあるでしょう。

ここで、共有者の一人が体調を崩したり、認知症の疑いが出てきたとします。
他の共有者や管理人は健康そのものであったとしても、誰か一人でも意思確認が取れなくなってしまうと、その後の管理で必要な補修工事や賃貸運用、売却などの際に支障が生じます。

不動産に関する契約行為には所有者の意思表示が必須となるため、一人でも意思確認が出来なくなると、その後何も出来なくなる可能性があります。

仮に成年後見人を立てる場合でも、権利関係の当事者である他の共有者は後見人になる事は難しいため、第三者が選任されるケースがほとんどです。
成年後見人は被後見人となった共有者のために動く事となりますので、何らかの契約行為が、被後見人にとって不都合だと判断されてしまう場合、後見人の許可が下りず、結局、何もできなくなってしまう可能性すらあるのです。

③共有者の意見が食い違ってしまうこともある

不動産を共有名義にて所有している場合、その後の管理・運用・売却等の際に、共有者同士で意見が食い違ってしまうケースもあります。

例えば実家を共有で相続した兄弟の一人が、生活に困窮して不動産を売却したいと提案したとします。
他の兄弟が納得してくれればそれで済む話ですが、思い出がある実家を手放したくないという人や、最終的に自分が住みたいという人もいるでしょう。

このように共有者の意見が食い違ってしまうと、その後の共有者間の関係性にも影響が出てしまう危険性があります。

もちろん、売却したい人の共有持ち分だけを売却するという手段もあります。
ただし、他の共有者に売却する場合には、いくらで売却するのか、誰に売却するのかが問題となりますし、買取業者に売却するにしても、持ち分の売却の場合、極端に売却価格が低くなってしまう事もあるのです。

共有名義の不動産を家族信託することのメリット

先に挙げたとおり、不動産の共有状態は、最初は問題なくとも、時間の経過とともにトラブルが生じる可能性が高くなっていきます。
とはいえ、「持ち分を手放す事はちょっと…」という共有者がいるケースも多いでしょう。

そこで、家族信託を使った、新しい「共有名義の解消」方法をご紹介いたします。

まず、大前提となる家族信託の仕組みをおさらいしておきましょう。

■委託者:信託財産(共有不動産)の名義を預ける人(共有者)

■受託者:信託財産(共有不動産)の名義を預かり管理・運用・売却等の契約行為をする人(管理人など)

■受益者:信託財産(共有不動産)から発生する利益を受ける人(賃料や売却益など)

家族信託の基本構造は、委託者と受託者が信託契約を結び、受託者が契約で定められた範囲内で管理・運用・売却等を行い、そこから発生する利益は、受益者として設定された人が受けとる、というものです。

家族信託では、共有者一人分の不動産持ち分を対象とすることも、共有者全員分を対象とすることも可能ですが、ここではメリットが分かりやすい共有者全員、つまり共有名義の不動産全体を家族信託するメリットを挙げてみましょう。

共有不動産全体を家族信託することのメリットとして、以下のような点が挙がります。

①共有者全員の持ち分を受託者に集約することで、その後の管理・活用等がスムーズになる
②共有者毎に発生する、相続による権利の分散を防ぐことができる

ひとつずつ確認していきましょう。

①共有者全員の持ち分を受託者に集約することで、その後の管理・運用・売却等がスムーズになる

共有者である委託者全員の判断能力がある元気な状態のうちに、共有者以外の親族等の誰かを受託者として指定し、委託者の移行に沿った形で信託財産として設定した対象の不動産の管理・活用等を行います。

信託契約を結ぶことで、委託者全員の所有権は、
・名義上の所有権
・受益権(信託財産から発生する利益を得る権利)
に分離されます。

このうち、名義上の所有権は受託者に移り、意思決定も受託者に集約されることで、その後の管理・活用等を単独で行うことができます。
通常なら共有者全員の同意が必要な売却行為も、受託者個人の判断で対応する事が可能です。

また仮に、共有者全員が認知症となった場合でも、信託契約に沿った形で受託者がそのまま管理・活用等をすることが可能となるのです。

②共有者毎に発生する、相続による権利の分散を防ぐことができる

委託者である共有者の誰かが亡くなったとしても、原則として信託契約上の受託者が変わる事はありません。

亡くなった共有者が持つ、委託者や受益者としての権利を、相続人が相続する事となります。
そのため、相続によって共有者が増え権利関係が複雑になったとしても、受託者が一貫して共有不動産の管理・活用等を続けることができます。

共有状態解消信託のスキーム

共有状態解消信託スキーム

今回の共有状態解消信託(画像の関係図)では、次のようなスキームとなります。

【信託契約の流れ】
■委託者兼受益者:長男・次男・長女
■受託者:次男の子
■信託財産:共有名義の賃貸アパート

①長男・次男・長女それぞれと次男の子の間で信託契約を締結します。「委託者=受益者」のため、贈与税・不動産取得税がかかりません。

②兄弟姉妹の誰かが認知症になった際も、財産管理・手続きをするのは「受託者=次男の子」のため、手続きは滞らずに進めることができます。

③兄弟姉妹の誰かに相続が発生した際に、受益権の承継先を信託契約に盛り込むことでスムーズに相続手続きが可能です。

共有状態解消信託をする際の注意点

不動産を共有しているメリット(賃料等の受益権)を共有者全員が享受しつつ、意思決定を受託者に集約できるという共有状態解消信託ですが、以下のような注意点もあります。

①受託者を誰にするか
②親族間における不公平感
③遺留分によるトラブル

①受託者を誰にするか

家族信託では、受託者となる人は、共有者全員の財産である不動産の管理・活用等を一任されることになります。
そのため、受託者は非常に大きな権限を持つ反面、大きな責任を負うこととなります。また、税務申告などの実務上の手間も発生します。

そういった背景から、いざ家族信託をしようと話し合っても、受託者の候補がなかなか決められないことがあります。
受託者の立場の押し付け合いにより、トラブルとなるケースもあります。

場合によっては、受託者の責任と手間に見合った信託報酬を設定するなどして、受託者になる事のメリットを作る必要もあるでしょう。

②親族間における不公平感

例えば、共有者の一人に複数名の子がおり、そのうちの一人を受託者として指定するとします。
受託者となった子は、個人の判断で管理・運用等をする権限を与えられることとなります。

そのため、他の子からしてみると、「同じ相続人の立場なのに、なぜ自分には権限が与えられていないのか、不公平じゃないか!」という感情を抱く可能性があります。

そのような事態を避けるため、家族信託を行う前に、関係する共有者だけでなく、その相続人である親族達ともしっかりと話し合い、全員が納得する形で話を進めることが大切です。

③遺留分によるトラブル

共有状態解消信託に限らず、家族信託をした時に、しばしば遺留分によるトラブルが発生する事があります。

遺留分とは、相続人が持つ法定相続分のうち、一定割合を保護するための制度です。
相続が発生した際に、信託契約の内容によっては、他の相続人の遺留分を侵害してしまい、遺留分侵害額請求をされる可能性があるのです。

このようなトラブルを防ぐ為には、最初の信託設計のうちから、遺留分を侵害しないように配慮した契約にする必要があります。
そのため、家族信託をする際には、まず司法書士等の専門家に相談することが重要です。

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